声優養成所と声優専門学校の違い
声優になるための学校には2種類あります。
国から認可を受けた学校法人が運営する声優専門学校と、声優プロダクションの下部組織にあたる声優養成所です。
将来声優としてデビューするためには、声優養成所と声優専門学校のどっちを選べば良いのか?
これから声優を目指す方がはじめに悩むことでしょう。
声優養成所と声優専門学校それぞれのメリットやデメリット、また各学校の違いについて順に解説していきます。
声優プロダクション直営の学校!声優養成所ってどんなところ?
声優養成所の最大の特徴は、声優プロダクションの直営、あるいは声優プロダクションと提携している点です。
声優養成所の最大の目的は、事務所に所属して活躍する声優を自社で育てることです。
プロダクションは自社で声優デビューさせることを前提として、自社で運営する声優養成所で新人声優を育成しています。
声優養成所に入るということは、その声優養成所を経営する声優プロダクションの門下生になるということです。
しかしながら、全ての生徒がプロダクション所属となり声優デビューできるわけではなく、入所期間中のオーディションや審査をクリアしたものだけがプロダクションに所属となります。
養成期間が終わる頃に所属審査に合格できなかった生徒は、そのまま退所とする声優養成所もあるほど、非常に厳しい世界です。
しかし反対に、声優養成所は声優プロダクションが新人を発掘するために運営している学校なので、プロダクション関係者の目に留まれば声優としてデビューすることができます。
声優養成所には週一コースが多い
声優専門学校のカリキュラムは、基礎中の基礎からアフレコまで、1から10まで詰め込まれています。
学校イベントもあれば、普通の学校のように長期の休みもあります。
声優養成所は専門学校とは違い、声優として仕事ができる即戦力を育てる養成機関です。
声優養成所によっては基礎中の基礎が省かれていたり、ダンスや歌のレッスンがないところもあります。
そのため声優養成所には週1回〜3回程度のレッスンのところが多く、それ以外は自主トレーニングとなっています。
専門学校と違って受講する時間は短時間で、時間帯も選択できる養成所が多いので、仕事や学業との両立も可能です。
もちろん、週に5日みっちり通う専門学校と比べて、声優養成所の学費は圧倒的に安くなっています。
日本ナレーション演技研究所 | 週1〜2日 |
---|---|
プロ・フィット声優養成所 | 週1日 |
俳協ボイス | 週1日 |
talk back | 週2日 |
青二塾 | 東京校/週5日
大阪校/週4日 |
ぷろだくしょんバオバブ | 週1日 |
アトミックモンキー | 週1日 |
81 ACTOR'S STUDIOS | 週1or週4コマ |
声優養成所では毎日がオーディション
声優養成所の授業では、プロの声優だけではなく、音響監督や脚本家などが登壇することもあります。
日々の授業の中で音響監督や脚本家に才能を見出され、そのままデビューした声優さんもたくんいます。
専門学校とは違って、入所して直ぐにでも声優としてデビューする可能性があるのが声優養成所です。
また、提携プロダクションのマネジャーは、新人発掘のために声優養成所を定期的に訪問しています。
声優養成所によっては、事務所が同じビルに入っていることもあります。
いつどこであなたの才能を見られているか分からないのが声優養成所。毎回の授業が全てオーディションと言われています。
専門学校にも声優事務所の関係者が出入りすることはありますし、在学中に才能を見出される可能性もあります。
しかし、やはり専門学校よりも声優養成所の方がチャンスは圧倒的に多いと言えます。
声優養成所に入るには
出典:総合学園ヒューマンアカデミー公式サイト
声優養成所には基本的に入所オーディションがあります。
声優専門学校のように校舎が大きくはなく、受け入れ人数にも限りがあるため、小さい声優養成所や生徒数が少ない声優養成所では、かなりの倍率のオーディションとなることもあります。
反対に、校舎が複数ある大型の声優養成所になると、ほとんどオーディションに落ちないようなところもあります。
また、レッスンの時間が声優専門学校と比較して短いことからも、声優養成所によっては初心者や演技未経験者では入所できないところもあります。
一方で、声優専門学校に入学するには、他の専門学校と同じく入学試験を受けるのが一般的です。
入試とは言っても、筆記テストや実技試験がある声優専門学校はほんの一部であって、ほとんどの声優専門学校では書類と面接のみで決まるため、合格率はかなり高くなっています。
声優養成所に比べると定員もかなり多いので、入試に落ちる可能性は極めて低いと言えます。
入所するためにオーディションや条件が設けられている点が、声優養成所と専門学校の一つの違いとなっています。
学生が通う声優の学校!声優専門学校ってどんなところ?
声優専門学校は声優養成所と違って、あくまでも学生が通う学校という位置付けになります。
月曜日から金曜日まで週に5日間のカリキュラムを組んでいるところが多く、学費も専門学校として一般的な年間100〜150万円あたりが相場となっています。
専門学校は声優養成所に比べてコマ数が多いので、声優の技術から礼儀作法までみっちり学べる反面、大学や仕事との両立は難しくなります。
しかし中には夜間コースや週一コースを設けている学校もあるので、学校によっては大学とのダブルスクールも可能です。
声優専門学校を卒業した後には、声優プロダクションとの契約を勝ち取る人、さらに声優養成所に通う人、一般企業に就職する人など道は分かれます。
声優としてずっと仕事を続けていくことは、決して簡単なことではありません。
声優になれなかった時、夢を諦めるタイミングを考えておくのも大切なことです。
声優専門学校でみっちり学んでみるのか、大学に通いながら週1で声優養成所に通うのか。将来のことをよく考えた上で、どちらの声優学校に通うのかを決めるようにしましょう。
声優専門学校は認可を受けた学校法人
日本で「専門学校」と名乗るためには、学校教育法によって認可を受ける必要があります。
反対に言えば声優専門学校と名乗っている学校は、すべて国から認可を受けた学校と言うことになります。
卒業すれば他の専門学校と同じように学歴として履歴書に書くことができて、条件を満たせば奨学金を借りることもできます。
また、専門学校まで電車で通学する場合には、学割の定期券を利用することができます。
声優養成所の場合は学校法人ではないため、国の奨学金や学割を利用することはできません。
さらに、学生寮が整っている専門学校もいくつかあり、中には食事提供やアルバイトの斡旋まで行っている専門学校もあります。
本気で声優になりたいなら上京することを強くお勧めしますが、一人暮らしに不安があるなら専門学校の学生寮に入るというのも良いでしょう。
声優養成所と専門学校はどっちがいい?
声優養成所と専門学校の違いについて解説しましたが、結局のところ、声優養成所と専門学校ではどちらを選ぶのが良いのでしょうか?
声優養成所が適している人、声優の専門学校が適している人、それぞれの適正を以下の項目でチェックしてみましょう。
声優養成所が適しているのはこんな人
- 入りたい声優事務所がある
- なりたい声優像がはっきりしている
- 大好きな声優さんがいる
- できるだけお金は節約したい
- 大学や仕事と両立したい
声優専門学校が適しているのはこんな人
- どんな声優になりたいのかハッキリしていない
- 声優事務所の名前は一つも知らない
- 基礎から時間をかけて学びたい
- 学生生活を満喫したい
- ある程度まとまったお金が用意できる
大前提として、声優養成所に入所するということは、その声優養成所を運営しているプロダクションへの所属を目指すということです。
なりたい声優像がハッキリしている、声優になったらこんな仕事をやりたい、それが明確にあるなら、その夢を実現できるプロダクションの直属養成所に入るのが良いでしょう。
反対に、どの声優養成所に入りたいのか分からない、声優の世界が右も左も分からない、そういう方なら声優の専門学校で一から学んで行くのも良いでしょう。
声優養成所では基本的に直営の声優プロダクションに所属することを目指しますが、声優専門学校では卒業前に複数の声優プロダクションのオーディションを受けるのが一般的です。
どの声優プロダクションにどんな声優がいて、有名な声優プロダクションがどこかも分からないということなら、声優専門学校で学びながら声優業界についても勉強していくと良いでしょう。
ただし、声優専門学校を卒業すると同時に声優プロダクションへの所属を勝ち取る人もいますが、卒業後はさらに声優養成所に入所してレッスンを続けるというパターンも多くあります。
そのため、人によっては声優専門学校に通うくらいなら、そのお金と時間で声優養成所に通う方がデビューへの近道と考える人もいます。
声優として仕事をするには声優プロダクションへの所属は必要不可欠で、所属を勝ち取るには声優養成所を経由するのが得策とも言えます。
しかし、全くの未経験者の場合は、声優養成所に入っても1年程度で所属を勝ち取る人はほんの一握りです。
それならば専門学校でしっかりと基礎を学んでから、段階を踏んで声優養成所を目指すのも一つの手でしょう。
ただし、声優養成所の中には、大半の生徒が未経験者というところもあります。
とにかく早く声優になりたいと言うことなら、全くの未経験者でも声優養成所から始めてみるのも良いと思います。
声優の勉強を始めてから1年経たない間にデビューする人もいれば、5年以上の下積みを経てからプロとして活躍している人もいます。
声優は若ければ若い方が有利なので、20代以上の方であればできる限り早く行動を始めるべきでしょう。
声優の勉強ができるのは何年なのか?お金はどのくらい用意できるのか?人生計画と照らし合わせながら、声優養成所と専門学校を選ぶようにしましょう。
一般企業が経営する声優の学校について
声優養成所とは、声優プロダクション付属の新人養成機関のことです。
そして声優専門学校とは、学校教育法による認可を受けた一般的な学校のことを指します。
さらにもう一つ、声優になるための技術を教えてくれる学校には、民間企業が経営する声優の学校があります。
ほとんど声優専門学校と同じようなものですが、学校法人ではなく企業が経営しているということで、少し違う部分も出てきます。
カリキュラムや費用は学校によってまちまちで、基本は専門学校と同じ全日制ですが、夜間や週末を利用して週1回から通うこともできます。
専門学校とさほど変わりありませんが、学校法人ではないので国の奨学金や学割を利用することはできません。
声優専門学校と同じくプロダクションの直属ではないので、毎日のようにプロダクションのマネージャーにアピールする機会があるわけではありません。
しかし一般企業が経営する声優学校の中には、声優事務所への所属を勝ち取る学生を数多く輩出している人気の学校があるので要チェックです。
無認可の学校であることのメリット
一般企業が経営する声優の学校は無認可校とも言われますが、認可されなかったわけではなく、あえて無認可の学校として運営しているところも多くあります。
専門学校として認可してもらうための手続きが大変なわけではなく、無認可の学校であることのメリットを活かすためです。
無認可の学校として声優学校を運営する最大のメリットは、カリキュラムを変更しやすいことです。
学校教育法による認可を受けている専門学校が授業のカリキュラムを変更するためには、毎回届け出が必要になります。
しかし無認可の一般企業校の場合は、カリキュラムの変更の度にわざわざ国から許可を得る必要がありません。
時代と共に求められる技術も変化する声優という職業なので、柔軟にカリキュラムを変更できるようにあえて無認可としている声優学校も多くあります。
また、学校教育法による認可を受けた専門学校は講師の採用にルールがありますが、一般企業校の場合はスケジュールと条件さえ折り合えば採用できます。
そのため、一般企業が経営する学校には現役で活躍する声優の講師が比較的多くなっています。
何をするにも国から許可を得る必要がなく、学校独自の運営ができるというのが一般企業校のメリットです。
まとめ
声優になりたい人が通う「声優の学校」には色々な形態があります。
それぞれの違いやメリット・デメリットをまとめると以下のようになります。